顧客資産持逃げの可能性　PeckShieldが注意喚起

　　ブロックチェーンセキュリティとデータ分析の大手「PeckShield」は、50＋のブロックチェーンプロジェクトが顧客資金の持逃げ（Rug Pull：ラグプル）を行った可能性が高いことをツイッターで明らかにした。

　　ラグプルとは、一件合法的な暗号通貨プロジェクトを立ち上げ、ユーザーの資金を持ち逃げする詐欺の手口である。多くの場合、開発者は非常に魅力的なリターンを投資家に提示してプロジェクトへの参加を募る。しかし、投資家がそのプロジェクトに参加した後、プロジェクトを意図的に放棄し、資金を持ち去るという手口である。

　　1月13日、PeckShieldがリストアップしたプロジェクトは、Amazon、Astrocoin、BabySquid、CryptoGuards、FIFA、DEEPtoken、CryptoHeroなどが含まれている。

　　これらのプロジェクトはどれも、中央集権的な性質持つという点で共通している。プロジェクトの管理者は、無制限にトークンを鋳造する権限を持っている。または、管理者はトークンの販売を制限することができ、任意のアカウントをブラックリストに登録する等、顧客側に不利な操作も可能になっている。

　　ラグプルは近年増加傾向にあり、2021年にも多く事案が発生した。ブロックチェーン会社Chainalysisのレポートによると、2021年の全ての暗号通貨関連の詐欺事件のうち、ラグプルによるものが全体の37％を占めていた。2020年、この比率はわずか1％であったため、いかにラグプルによる詐欺が増加しているかがお分かりいただけると思う。

　　また、ブロックチェーンセキュリティ企業のCertiKのレポートによると、2021年はDeFiの集中化に起因するハッキング被害が44件発生しており、被害総額は10億ドル以上を超えた。

　　米国証券取引委員会（U.S. Securities and Exchange Commission: SEC）が、DeFiや広範な暗号資産取引の規制について、その重要性を繰り返し表明している。投資家を保護するために、より強い規制が必要だと考えているのだ。

　　また、BinanceのCEOチャンポン・ジャオ（Changpeng Zhao：CZ）やFTX exchangeのCEOサム・バンクマン・フリード（Sam Bankman-Fried）も、規制の重要性を強調している。

　　暗号資産関連の分野で人々がより安全に活動できるような「適切な規制」を今後いかに設定していくかが、金融規制当局の当面の課題となりそうだ。

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