仮想通貨業界において今年最も重要なイベントとも言われるマージ。仮想通貨マーケット、Web3の未来を占う上でどのような意味があるのだろうか?
オピニオン
イーサリアムの大型アップグレードである「The Merge(マージ)」の日が近づいている。イーサリアム財団によると、マージは「Bellatrix(ベラトリックス)」と「Paris(パリ)」の二段階で構成されており、ベラトリックスは9月6日に予定されている。
マージ本番は9月10日〜20日の間に実施される見込みだ。
仮想通貨業界において今年最も重要なイベントとも言われるマージ。仮想通貨マーケット、Web3の未来を占う上でどのような意味があるのだろうか?
「マージ」とは?
マージとは、イーサリアムの取引記録をめぐる合意形成方法(コンセンサスアルゴリズム)が、プルーフオブワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)に変わることだ。これによって、電力消費量が多いと言われるマイニングに頼ることなく、ステークしたETHによってネットワークを維持できるようになる。n nイーサリアム財団のリサーチャーであるジャスティン・ドレイク氏によると、マージは自動車におけるガソリン車から電気自動車へのシフトと似ている。
「どうやるかって?電気自動車用のエンジンをガソリン車用のエンジンと並行して導入する。そして、前者を車輪につなげる一方で、後者を止める」
PoW時代のマイニングには高性能のコンピューターが必要だ。しかし、PoSは個人用のPCで十分であり、取引記録を承認するために仮想通貨をステークする。
ただ、マイナーにとっては大きな変化を意味する。これまで高い投資をしてきたマイニング機器が使えなくなり、収入源を断たれることになるからだ。このため、イーサリアムのマイナーたちが、PoWを採用する他のブロックチェーンに移行するという観測も出ている。
Web2に後戻り?
イーサリアムの中央集権化をめぐる議論も活発に行われている。
イーサリアムのアクティブなノード(ネットワークに参加するコンピューター)は全部で4653あり、そのうちの50%がアマゾンウェブサービス(AWS)という中央集権的なクラウドサーバーで運用されている。イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、マージによるコンセンサスメカニズム変更によって、(一部の人間が)ネットワーク全体を攻撃するために必要なコストが高くなると主張する。
マージによってイーサリアムの分散化が進むのか、数ヶ月間、注視されることになるだろう。
また、マージはWeb3の未来にとって大きな一歩になるのだろうか?LedgerのCTOであるチャールズ・ガイルメット氏は、マージによって「さらに数百万のユーザーにWeb3関連のユースケースをもたらし、Web3の未来に向けて大きな一歩になる」とみている。
マージによって、仮にイーサリアムのネットワークの持続性と効率性が上がれば、仮想通貨の普及が進むのだろうか注目だ。
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