80日ぶり安値を付けたビットコイン　今週末にかけた値動きは？

　　市場分析

　　ビットコイン（BTC）は9月6日に19,000ドルを割り込み、80日ぶりの安値に追い込まれた。この動きは、7月から8月15日までの32％の上昇を完全に帳消しにしただけでなく、2億4600万ドル相当のレバレッジ・ロング（買い）先物契約も一掃された。

　　ビットコイン価格は年初来で下落しているが、他の資産との値動きを比較することが重要だ。現在、原油価格は7月以降23.5％下落、パランティア・テクノロジーズ（PLTR）は30日で36.4％下落、医薬・バイオのモデルナ（MRNA）は同期間で30.4％下落している。

　　インフレ圧力と世界的な景気後退への懸念から、投資家はリスクの高い資産から遠ざかっている。ドルを中心としたキャッシュポジションに避難することで、米国債の5年物利回りは3.38%に達し、15年ぶりの高水準に近づいた。米国債の保有に高いプレミアムが付いていることは、投資家は現在のインフレ抑制に信頼がないことを示している。

　　9月7日に発表されたデータによると、中国の輸出は7月に18％増加した後、8月には前年比7.1％増となった。さらに、9月6日に発表されたドイツの鉱工業受注は、7月に前年比13.6％減となった。このように、伝統的な市場からのデカップリングが起こるまでは、ビットコインの強気相場はあまり期待できないだろう。

　　弱気派は過度に楽観的

　　9月9日満期のオプション建玉は4億1000万ドルだが、弱気派が過信しすぎたため、実際の数字はもっと低くなるだろう。これらのトレーダーは、18,500ドル以下に賭けたので、18,700ドルが維持されるとは予想していなかったのだ。

　　Bitcoin options aggregate open interest for Sept. 9. Source: CoinGlass

　　プット・コール・レシオは0.77となっており、1億8000万ドルのコール（買い）オプションと2億3000万ドルのプット（売り）オプションの間でのアンバランスを反映している。記事執筆時点で、ビットコインは18,900ドル付近で推移しており、両者のほとんどのポジションは無価値になる可能性が高い。

　　9月9日午前8時（UTC）にビットコインの価格が2万ドルを下回ったままであれば、このコール（買い）オプションは1300万ドル分しかないことになる。この差は、2万ドルでビットコインを買う権利は、満期にBTCがその水準より下で取引されれば意味がないからだ。

　　1万8000ドルなら弱気派は9000万ドルの利益

　　以下は、現在の値動きから最も可能性の高い4つのシナリオだ。9月9日にコール（強気）とプット（弱気）で利用可能なオプション契約数は、満期価格によって異なる。両者のバランスで理論的な利益が決まる。

• 　　17,000ドルから18,000ドルの間：コール0枚対プット4,300枚。弱気派が完全に優勢で、1億3千万ドルの利益を得る。

• 　　18,000ドルから19,000ドルの間：コール0枚 vs. プット5,050枚。結果は、プット（弱気派）オプションが9000万ドルも有利になる。

• 　　19,000ドルから20,000ドルの間：コール700枚対プット1,900枚。正味の結果は、プット（弱気派）オプションが5,000万ドル有利となる。

• 　　20,000ドルから21,000ドルの間： 2,050コール対2,200プット。正味の結果は、強気派と弱気派との間でバランスが取れていることになる。

　　この大まかな試算は、プットオプションが弱気な取引に使われ、コール・オプションが中立から強気な取引に限定されていることを考慮したものだ。この単純なモデルは、より複雑な投資戦略を無視することになる。

　　強気派はBTC押し上げを試みる

　　ビットコインの強気派は、1億3千万ドルの損失を避けるため、9月9日にBTC価格を2万ドル以上に押し上げる必要がある。一方、弱気派のベストシナリオは、利益を最大化するために18,000ドル以下に押し下げる必要がある。

　　ビットコインの強気派は2日間で2億4600万ドルのレバレッジ・ロングポジションを清算したばかりなので、価格を上昇させるために必要な証拠金が少なくなるかもしれない。言い換えれば、弱気派は週次オプションの満期を前に、BTCを19,000ドル以下に釘付けにするために先手を打とうとするだろう。