インドとUAE、米ドルを介さない貿易や送金を促進するCBDCブリッジを検討へ

　　Derek Andersen

　　2023年03月19日 06:00

　　インドとUAE、米ドルを介さない貿易や送金を促進するCBDCブリッジを検討へ

　　インド準備銀行（RBI）とアラブ首長国連邦（UAE）中央銀行は15日、金融サービスにおける協力とイノベーションに関する覚書に署名したと発表した。

　　両行は特に中央銀行デジタル通貨（CBDC）の相互運用性に注力し、送金や貿易を促進するCBDCブリッジの概念実証とパイロットプログラムを開発する予定だ。両行は、このようなブリッジはコストを削減し、取引の効率を高め、経済関係を強化することになると指摘した。

　　インドとUAEの銀行関係者は2月、コルレス銀行（中継銀行）を利用したインド・ルピーとUAEディルハムの決済システムに関する協議を実施した。このシステムは1年前から開発が進められていた。現在、両国は米ドルで決済している。

　　湾岸地域からの送金は16～17年から50％減少しているが、UAEは依然としてインドへの重要な送金元であり、22年7月時点で約870億ドルの総額の17～18％を占めていた。UAEは、新型コロナが流行するまではインドにとって最大の送金元だったが、パンデミック以降は米国にその座を奪われた。

　　インドとUAEは、送金を扱うためのリテールCBDCを検討すると推測される。インドは現在、デジタルルピーの国内パイロットプロジェクトを実施しており、5万人のユーザーと5000店舗の加盟店が同プロジェクトに参加している。また、RBIは2月下旬に、ホールセールCBDCで約80万件、1億3400万ドル相当の取引を完了し、CBDCのオフライン機能をテストしていると報告した。

　　UAEは2月に9部構成の金融変革プログラムを立ち上げ、国内決済およびクロスボーダー（国境を越えた）決済用のCBDCを立ち上げる意向を表明した。それ以前にも、UAEの銀行は、香港、中国、タイの銀行とともに、クロスボーダー送金にCBDCを使用するmBridgeパイロットプロジェクトに参加していた。また、UAEの対外貿易担当国務大臣のタニ・アル・ゼユーディ氏は、1月の世界経済フォーラムで、UAEは仮想通貨が「今後、UAEの貿易に大きな役割を果たす」と期待していると述べていた