分散型金融プロトコルVoltz、アバランチ上でSOFRの金利スワップ取引を可能に

　　分散型金融プロトコルのVoltzにより、アバランチ（Avalanche）ユーザーが担保付翌日物調達金利（SOFR）の金利スワップを取引できるようになった。SOFRは、世界全体の金融市場で使用されるベンチマークとなる金利レートだ。

　　コインテレグラフが確認した5月24日のVoltzからの発表によると、この新機能により、投資家が金利変動に対するリスクをヘッジし、投機家は金利が上昇するか下落するかに賭けることを可能にする。

　　SOFRは、金融機関が米国債を担保として使用する場合に支払われるオーバーナイト金利である。これは、廃止されたロンドン銀行間貸付金利（LIBOR）を置き換えるために作られた。米国債により担保が付された貸付は非常に低リスクと見なされるため、SOFRは他のレートを計算する基準として頻繁に使用される。SOFRは、米国連邦準備制度理事会（FRB）によって設定されるフェデラル・ファンド金利に大きく影響される。

　　伝統的な金融では、企業が金利変動から身を守るため、SOFRに基づいた金利スワップを使用してきた。例えば、借入を希望する企業は、これらの商品を使用して、FRBの利上げの影響に対応することができた。

　　Voltzのこの機能は、この伝統的な金融商品をアバランチのネットワークで利用可能にし、その利用ケースをより広範な投資家グループに開放するものになるだろう

　　Voltz LabsのCEO兼共同創設者であるサイモン・ジョーンズ氏は、この新機能が個人投資家と大手機関投資家との間の競争環境を平等にするのに役立つだろうと述べている。

　　同氏は、「全員がFRBが決定することに影響を受けるが、そのリスクをヘッジすることを可能にする金利スワップ市場にアクセスできる機関はごく一握りだけだった。しかし、それは今までのことだ」と語る。彼の見解では、Voltzプロトコルの立ち上げは、「伝統的な金融市場をDeFi上でアクセス可能にする」。

　　伝統的な金融商品は、徐々にではあるが確実にDeFiへと進出してきている。証券ブローカーディーラーのINXは、4月3日にイーサリアム上でグリーンブライアー・キャピタルの株式をセキュリティトークンとして取引できるようにし、それに伴い機関向けのコンプライアンス対応ウォレットを開発した。4月27日には、ネオバンクのコグニがソウルバウンド・トークンプロトコルをリリースし、DeFiのKYC（本人確認）プロセスを単純化した。コグニは、このプロトコルが銀行が急成長しているWeb3エコシステムとより密接に統合するのを可能にすることを期待している。

　　翻訳・編集 コインテレグラフジャパン