債務上限問題、ビットコインにどのような影響を与えたか？アナリストらの見解

　　

　　ブラックロックのローレンス・フィンクCEOは、最近の米国の債務上限問題をめぐる「ドラマ」が米ドルに対する世界的な信頼を損なっていると考えている。他のアナリストはこれがビットコイン（BTC）に追い風をもたらすと予測している。

　　フィンク氏のコメントは、米議会が6月1日に31兆4千億ドルの債務上限を引き上げる法案を可決したことを受けてのものだ。米財務省は、債務上限引き上げの期限を6月5日としていた。それ以降になると、国が債務不履行に陥る可能性があった。

　　ロイターの5月31日の報道によれば、フィンク氏はドイツ銀行の金融サービスカンファレンスで、今後数カ月で米連邦準備制度理事会（FRB）が少なくとも2回の利上げを行うと予想し、「全体的なインフレが減少している証拠は見られない」と語った。「米国は、準備通貨の地位を危険にさらしている」とフィンク氏は語った。

　　ビットコインの支持者や仮想通貨投資家の多くは、BTCを中央銀行が通貨供給を増やすことによって引き起こされるインフレや債務の懸念に対するヘッジとして見ている。eToroの市場アナリストであるジョシュ・ギルバート氏はコインテレグラフに対して、債務上限問題が再びビットコインに脚光を浴びせていると述べ、投資家は現行の金融システムの制約から解放された供給上限のある安全資産を求めるかもしれないと主張する。

　　「債務上限問題は、ビットコインの有用性を再び浮き彫りにしている。供給が有限であるため、現在米国政府が直面している問題から解放されている」と彼は語った。しかし、ギルバート氏は、米国の銀行危機や債務上限問題がビットコインのような資産の本質的な有用性を浮き彫りにする一方で、現在の出来事がビットコインの価値を大幅に押し上げることを期待している投資家は期待を抑えるべきだと指摘した。

　　「これらの問題による不確実性と流動性問題によって短期的には楽観主義よりも不安の方が大きくなる」とギルバート氏は語った。「銀行危機が起こったとき、インフレと利上げの期待が下がり、ビットコインが上昇したのはそのためだ」と彼は語った。

　　こうした見解は、投資会社ファインキア・インターナショナルのリサーチアナリストであるマッテオ・グレコ氏によっても支持されている。彼はCNBCに対し、ビットコインの価格が現在下落しているのは、主に米国が債務上限に達することを投資家が恐れているためだと述べた。

　　通常、中央銀行が利上げを行うと、投資家は仮想通貨や成長株などのリスク資産から資金を引き揚げる。「ビットコインが2022年に大幅に下落していたことを考慮すると、高金利環境が変わることを期待して、投資家は大幅な下落からビットコインを買い戻す機会をつかんだ。利上げの期待は今年に入ってから、そして過去数週間で大幅に変わってきた」とギルバート氏は付け加えた。

　　ギルバート氏の評価では、フィンク氏が懸念するようなさらなる利上げが実現すれば、ビットコインの価格は現在の価格からさらに下落する可能性がある。逆に、6月にFRBが利上げサイクルを一時停止すれば、ギルバート氏はビットコインに対してプラスの値動きが見られるだろうと話す。

　　翻訳・編集 コインテレグラフジャパン