SECのバイナンス訴訟、業界からは「驚くべきことではない」との声と同時に新たな事実も

　　米証券取引委員会（SEC）がバイナンスとバイナンスの米国法人、CEOのジャオ・チャンポン氏（通称CZ）に対する訴訟に様々な反応がみられている。仮想通貨コミュニティが驚く一方、SECが同取引所を注視していたことは広く知られていた。

　　6月6日未明、CZ氏はツイートで「我々より先にメディアが情報を得ている」と訴訟について言及。その時点で、同社はSECからの訴訟を確認していなかったようだ。バイナンスからはその後、2つの声明が発表された。

　　同取引所はブログ投稿で訴訟を「失望だ」と称し、SECが明確なガイダンスを提供せず、金融イノベーションに影響を与えたことを強調。その後の電子メールによる声明では、法的問題により詳しく触れ、公正な手続きが欠けていたと主張し、粘り強く対応していくことを約束した。

　　金融会社Swan BitcoinのCEOであるコリー・クリップステン氏は、SECの訴訟について、「注意を払っている者ならば誰もが驚くことはなかった」と発言。また彼はコインテレグラフに対し、「バイナンスのこれらの慣行は基本的に公然の秘密で、業界で活動している者なら、いずれの告発にも驚かないだろう」と述べた。

　　一方で、一部詳細は驚きをもたらす内容もあった。2018年にバイナンスの最高コンプライアンス責任者（名前は不明）が他の役員に送ったメッセージで「我々は米国で未認可の証券取引所として運営している」と述べており、訴状でも最も引用されている。

　　また、バイナンスの米国支社元CEOであり、米通貨監督庁（OCC）元長官であるブライアン・ブルックス氏の短期間の任期についても新たな事実が明らかになった。SECの証言によると、ブルックス氏は次のように述べた。

　　「CZ氏がBAMトレーディングのCEOで、私ではないことが明らかになった。私がこの会社を運営していないこと、そして私が志した使命が実際の使命でないことに気づいた。そのとき、私は去った」

　　SECはこれまで仮想通貨のほとんど全てが証券であると繰り返し主張しており、訴訟文書に記載された10のトークンのリストも示唆に富んでいる。

　　ファイルコイン（FIL）が証券であるとの主張は一部で既知のものであり、アルゴランド（ALGO）も同様だ。しかし、ソラナ（SOL）、カルダノ（ADA）、ポリゴン（MATIC）にとって、バイナンス訴訟は警告の一環となるかもしれない。

　　And guess which tokens are illegal securities offerings. Spoiler alert it includes Solana and Cardano.

　　— Stephen Diehl (@smdiehl) June 5, 2023

　　既にバイナンスで何かが動き始めている兆候が見られた。SECの訴訟発表とほぼ同時に、ブルームバーグは、リチャード・テン氏がバイナンスの次期CEOとしてCZ氏の後任になる可能性があると報じた。報道によると、情報源は「直接の知識を持つ人々」だった。

　　テン氏は2021年8月にバイナンス・シンガポールに入社し、アブダビグローバルマーケットの金融サービス規制当局でCEOを務めた後、急速に昇進。彼は5月29日に、米国外のすべての地域市場を統括する責任者に任命された。