米SEC、未登録証券の提供でバイナンスを提訴

　　Derek Andersen

　　2023年06月06日 07:01

　　米SEC、未登録証券の提供でバイナンスを提訴

　　米証券取引委員会（SEC）は6月5日、バイナンスと同社の米プラットフォームであるバイナンスUS、CEOの・ジャオ・チャンポン氏（通称CZ）に対してコロンビア地区裁判所で訴訟を起こした。

　　SECは、バイナンスに対して13項目の訴訟を提起した。これにはBNBおよびBinance USD（BUSD）、Simple EarnとBNB Vault製品、そしてステーキングプログラムの未登録オファーと販売が含まれる。さらにSECは訴状で、バイナンスがBinance.comプラットフォームを取引所やブローカーディーラークリアリングエージェンシーとして登録していないと主張。バイナンスとBAMトレーディング（Binance.USの法的事業体）がBinance.USを取引所、ブローカー、およびクリアリングエージェンシーとして登録していなかったと主張されている。CZ氏は「管理責任者」として訴えられた。

　　訴状には以下のように書かれている。

　　「被告たちは何十億ドルもの利益を得ながら、投資家の資産を大きなリスクにさらしている。[…] 被告たちは複数の仮想通貨資産証券とその他の投資スキームの未登録のオファーと販売を行ってきた」

　　「BAMトレーディング氏とBAMマネジメント氏は、バイナンス.USプラットフォームにおける不正取引の監視と管理が厳重に行われていると主張していた。しかし、実際にはそれらはほとんど存在しておらず投資家を欺いた」とも述べられている。

　　また訴状は、米国投資家がBinance.comを利用するのを制限していなかったと主張し、Binance.USがCZ氏所有の「主要な未公開の“マーケットメイキング”取引企業Sigma Chain」を通じてウォッシュトレーディングを行っていたと主張する。

　　加えて、訴状はCZ氏関連のMerit Peak Limitedが管理するアカウントでバイナンスとBinance.USの資金が混在していたと主張する。これらの主張は、3月27日に商品先物取引委員会によって提出された訴訟と似ている。CZ氏は詳細なブログ投稿でこれらの訴訟を否定した。

　　SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は声明で「CZ氏とバイナンスは投資家にリスク管理と不正な取引量について誤解を与え、誰がプラットフォームを運営しているか、その関連マーケットメイカーの不正な取引、さらには投資家の資金と仮想通貨資産がどこに、誰が保管しているかまでを積極的に隠していた」と述べた。SECはバイナンスとCZ氏に対し、その後の活動の永久的な差止め、不正得利の返還および利息と罰金を要求している。

　　訴状は、バイナンス取引所で取引されていたトークンが証券であったと主張している。それらのトークンはBNB、BUSD、ソラナ（SOL）、カルダノ（ADA）、ポリゴン（MATIC）、ファイルコイン（FIL）、コスモス（ATOM）、サンドボックス（SAND）、ディセントラランド（MANA）、アルゴランド（ALGO）、アクシーインフィニティ（AXS）、およびCOTI。

　　バイナンスとBinance.USはそれぞれ訴状に対して反応を示した。Binance.USはツイートで、SECの主張は「規制による強制の最新の例」であり、「根拠がなく、我々は自分たちを力強く守るつもりだ」と述べている。

　　Binance.comのブログ投稿では、「初めから、我々はSECの調査に積極的に協力し、彼らの質問に答え、懸念事項に対処するために一生懸命働いてきた。[…] 我々はSECの主張を重視しているが、それらはSECの強制行為の対象であるべきではなく、ましてや緊急の基準であるべきではない」と主張した。

　　「Binance.USプラットフォーム上のユーザー資産がリスクにさらされたという主張は単に間違っている。SECのここでの行動は、他の規制機関から管轄権を急いで主張するためのもので、投資家保護がSECの優先事項ではないように見える」

　　バイナンスに対する主張は新しいものではない。SECのバイナンスに対する調査は2022年6月に始まったと報じられている。バイナンスは資金の誤管理の報道を「陰謀説」と呼んでいる。