Curveプールの不均衡がUSDTのデペグ懸念を誘発、テザーCTOはFUDと発言

　　Prashant Jha

　　2023年06月16日 07:13

　　Curveプールの不均衡がUSDTのデペグ懸念を誘発、テザーCTOはFUDと発言

　　6月15日、テザー（USDT）ステーブルコインの価格がCurveの3poolにおける不均衡のために米ドルペグから僅かに逸脱した。テザーの価格は0.3%下落し、0.997ドル付近にまで落ち込んだ。その原因はCurve 3pool内でのテザーのウェートが、通常の33.1%から70%以上に増加したことだ。

　　Curveの3poolは、分散型金融（DeFi）向けのステーブルコインプールで、上位3種類のステーブルコイン（テザー、USDC、DAI）が大量に保有されている。プール内で特定のステーブルコインのウェイトが大幅に上昇すると、その資産が大量に売られていることを示す。

　　テザーのウェイトが約73.8%に達したため、トレーダーたちはますますテザーをDAIまたはUSDCに売っている。2022年11月のFTX崩壊時には、Curveの3poolにおけるテザーの比重が一時50%を超えたことがある。

　　不均衡の主な原因は、CZSamSunというホエールアドレスが3150万USDTを借り入れてUSDCに交換し、テザーの米ドルペグ価格がわずかに逸脱したことに起因する。このアドレスは、17000ETHと14000stETHを担保にして、借り入れた合計額を1inchネットワークを用いてUSDCに変換した。

　　その後、借り手はAave v2とv3にそれぞれ1000万ドルと2100万ドルを預けた。そして、v3から1200万USDTを借り入れ、それをv2に預けた。

　　CZSamSunがテザーを借り入れてから約20分後、別のアドレス（0xd2...0701）がAave v2を通じて52200stETHを担保にして、USDT/USDCの価格差を利用して5000万USDCを借り入れた。

　　テザー価格のわずかな逸脱は、バイナンスでのUSDC/USDT取引ペアが年初来高値の1.0034ドルに上昇する一因となった。Curveの3poolにおけるテザーの割合は73.79%、DAIは13.05%、USDCは13.16%だった。

　　テザーの最高技術責任者、パオロ・アルドイノ氏はツイッターで仮想通貨コミュニティに対し、「ペッグからの逸脱は心配することなく、任意の金額を引き出す準備が整っている」と保証した。その後、アルドイノ氏は“FUDミーム”を共有し、テザーのペッグ解除についての市場の噂について言及した。

　　数ヶ月前にもUSDCのペッグ解除が多くの投資家のポートフォリオに混乱をもたらした。3月、シリコンバレーバンクで30億ドル以上が滞っているとサークルが確認したことで、USDCは0.90ドル以下にペッグ解除された。サークルは2日以内に十分な資本を集めてUSDCを再びドルにペッグすることができたが、ペッグ解除によるパニックは、多くのトレーダーが損失を抱えてUSDCを手放す結果となった。