ブラックロックのビットコインETF申請　仮想通貨業界にとって福音となるか？それともリスクか？

　　ブラックロックがスポット（現物）ビットコイン上場投資信託（ETF）の申請は仮想通貨業界にどのような影響を与えることになるか？ 一部の関係者は、ビットコイン（BTC）への投資家の信頼が向上し、「BTCにとって最善の事態」となる可能性があると指摘している。しかし、他の専門家はそのリスクに警鐘を鳴らしている。

　　6月16日のFOXとのインタビューで、ギャラクシーデジタルのマイク・ノヴォグラッツCEOは、ブラックロックのETF申請が承認されることが「BTCにとって最善の事態」となるだろうと語った。「毎晩祈っているのは、ラリー・フィンクとブラックロックがビットコインETFを実現することだ」と、ノヴォグラッツ氏は述べた。

　　一方、金融商品比較ウェブサイト「Finder.com」の仮想通貨アナリスト、ジェームズ・エドワーズ氏は、ブラックロックの申請のタイミングが、資産としてのビットコインの信頼性と、コインベースがSECとの法廷闘争に臨む際の自信の両方を提供するだろうとコインテレグラフに語った。

　　「SECが仮想通貨に対して攻撃的な態度を取る中で、ブラックロックがビットコインETFを推進する意欲を示していることは非常に示唆に富んでいる。これは、ビットコインが商品であるという地位に対する信頼を示している」と述べ、さらに次のように付け加えた。

　　「ブラックロックが、規制当局との綿密な協議とビットコインの将来的な法的地位に対する信頼がなければ、このような性質のETFを推進することはあり得ないだろう」

　　エドワーズ氏によれば、ブラックロックが資金管理のためにコインベースカストディを利用する方針も、コインベースが法的防衛を準備する中で大きな後押しとなるはずだという。世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、コインベースの法的立場に「自信」がなければ、コインベースと提携することはなかっただろうと彼は付け加えた。

　　ビットコインがウォール街に支配される？

　　一方でブラックロックの最新の動きが、仮想通貨の「分散性」という精神を損なうものであると指摘する声もある。また、同社が個人投資家から利益を上げる方法を見つける可能性があるとの警告もある。

　　投資家のスコット・メルカー氏は6月16日のヤフーファイナンスとのインタビューで、ブラックロック進出が、仮想通貨ネイティブのイノベーターにとって不利益をもたらすと説明した。「この動きが機関投資家の採用にとって良いことであるとしても、それは精神を損なうものであり、米国で業界を築いた人々から不誠実に遠ざけるものだ」と述べた。

　　シネマイン・ベンチャーズのパートナーでありイーサリアム支持者であるアダム・コクラン氏は、ブラックロックが個人投資家の「割引コイン」を狙っていると考えており、メルカー氏も同様の見解を持っている。

　　スワン・ビットコインのマネージング・ディレクターであるスティーブン・ルブカ氏も同様の見解を共有し、BTCが100万ドルに達すると予測しているが、ブラックロックやゴールドマン・サックス、その他のETF発行者がBTCの大部分を所有するため、個人投資家は利益を得られないだろうと述べた。

　　メルカー氏は、ウォール街の企業が引き続きこの分野に進出し、米国の規制当局は既存のプラットフォームよりも彼らを「選ぶ」可能性が高いと付け加えた。

　　ARKインベスト、グレースケール、フィデリティ、ギャラクシーデジタル、ヴァンエック、ヴァルキリー・インベストメンツ、NYDIG、スカイブリッジ、ウィズダムツリーなど、他の投資会社も、SECに同様のビットコインおよび仮想通貨ETFを申請している。

　　このニュースが報じられて以降、BTCの価格は2.2％上昇し、執筆時点で2万5584ドルとなっている。興味深いことに、ブラックロックの申請のニュースを受けて、仮想通貨の恐怖＆強欲指数は41から47に上昇し、恐怖ゾーンを脱した。

　　翻訳・編集 コインテレグラフジャパン