FTXの顧客名簿は開示されるべきか？ 大手メディアは裁判所の封印決定に異議申し立て

　　Ciaran Lyons

　　2023年06月25日 07:00

　　FTXの顧客名簿は開示されるべきか？ 大手メディアは裁判所の封印決定に異議申し立て

　　FTX顧客名簿の公開を求める4つの主要メディアは、それらを封印する決定に反対している。一方、仮想通貨専門の弁護士はコインテレグラフに対し、「名前が開示されることで潜在的な被害が生じる明確な証拠がある」と語っている。

　　ロイターの報道によると、ブルームバーグ、ダウ・ジョーンズ、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズの4社は、FTXに個人顧客の名前をすべての提出書類から「恒久的に削除」することを認めた裁判所の6月9日の判決を不服とし、控訴している。

　　裁判所のドーシー判事は6月9日に、顧客が「詐欺に遭わないよう保護される」ため、顧客リストの名前を封印する決定を下した。これは、アメリカの破産法における、ID盗難やその他の被害の潜在的リスクに対処する例外と一致している。

　　しかし、メディア側の弁護士は、FTXが「顧客が仮想通貨を利用した」という理由だけで、破産開示要件に対する「全面的な例外」を認められるわけではないと主張している。メディア側は、破産企業は通常、債権者に対する名前と未払い金額を開示する義務があるという事実を支持している。

　　ドバイ拠点の仮想通貨専門の弁護士イリーナ・ヘイバー氏は、「FTXが顧客名を機密に保つことを認めた判事の判断に賛同する」とコインテレグラフに語った。「メディア企業によるこの抗議は、個人の身元が明らかにされた場合に直面するリスクを完全に無視しているようだ」とヘイバー氏は語った。「これは仮定の懸念ではなく、そのような開示によって引き起こされる被害の明確な証拠がある。900万人のユーザーがいるため、広範な財政的および個人的な被害の可能性は非常に大きい」と指摘する。

　　ヘイバー氏は「セルシウス事件」を例に挙げ、2022年7月に「フィッシング攻撃が急増した」と語った。セルシウスの預金者は、特定の顧客データが侵害されたことを示す警告メールを受け取った。この侵害は、内部の従業員が第三者の悪意ある行為者に電子メールのリストを漏洩したことが原因で発生した。