FTXは、同社の元コンプライアンス担当幹部に対して訴訟を起こした。FTXの問題について内部告発しようとするスタッフを口止めするため、この幹部が重要な役割を担っていたという。
Jesse Coghlan
2023年06月29日 13:00
内部告発をしようとした人物に「口止め料」 FTXが元コンプラ担当幹部を提訴
FTXは、同社の元コンプライアンス担当幹部に対して訴訟を起こした。FTXの問題について内部告発しようとするスタッフを口止めするため、この幹部が重要な役割を担っていたという。
FTXは6月27日、ダニエル・フリードバーグ氏に対して訴訟を起こした。彼は、FTXの最高規制責任者、FTX USの最高コンプライアンス責任者、アラメダリサーチの法律顧問など、複数の役職を担っていた。
FTXは、フリードバーグ氏が同社の共同創設者であるサム・バンクマン-フリード氏の「フィクサー」だったと主張している。訴状によれば、バンクマン-フリード氏の父親ジョー・バンクマン氏がフリードバーグ氏に重要な役割を与え、彼が重要な情報を得られるように働きかけていたという。
フリードバーグ氏は、FTXとアラメダとの疑惑の関係や「規制上の問題」について情報をリークするのを防ぐため、2人の潜在的な内部告発者に「口止め料」を支払ったとされている。
FTXは40ページの提出文書の中で、フリードバーグ氏が法的な義務を違反し、他の元FTX幹部に対する一連の不正資金流用と「貸付」を認めたという、11の民事訴訟を展開した。
訴訟によれば、フリードバーグ氏が取引所で働いた22ヶ月間で、彼には30万ドルの給与、140万ドルの契約金、300万ドルの現金ボーナス、FTX USの8%の株式持分、仮想通貨「数千万ドル相当」が与えられたという。FTXはこれら全てを取り戻そうとしている。
訴状の中では、内部告発者たちに支払われた口止め料の金額に関するは編集されている。
2022年3月にはフリードバーグ氏が、FTX USで「2ヶ月」働いていたという女性従業員(名前は「告発者-1」とされている人物)に「異例の和解金」を支払ったという。またこの「告発者-1」の弁護士を引き留めるために1200万ドルの契約も開始されたという。
この和解金は、告発者-1からの指摘に対する対応だったとうい。この告発者は「アラメダはFTXの延長に過ぎず、FTXのプロジェクトへの投資家の信頼を高め、FTXが自身で開発したり投資したりしたプロジェクトの価格を押し上げるために使われている」と指摘していた。
この告発者はまた「企業の資金調達や様々なプロジェクトの詳細がSlackで公開されていた」と主張し、これが「全ての在籍従業員が公表前に情報を元に取引を行うことを可能にした」と主張した。
フリードバーグ氏は和解後に告発者-1の法律事務所に連絡し、「5年間で月額20万ドル以上」の契約を結んだが、そのサービスに「本当の必要性はなかった」という。
別の疑われる事例では、フリードバーグ氏はアラメダで働いていた弁護士、名前は「告発者-2」とされている人物を「ビジネス内のガバナンスと規制上の問題」に懸念を示した後に解雇したという。
この人物はアラメダで3ヶ月間働いただけだったが、それでも退職金を受け取ったという。その具体的な金額の数字は提出文書で削除されている。
6月26日のFTXの報告書では、名指しはされていないがFTXの上級法律顧問が顧客資金の不正流用を「助長し、隠蔽した」と指摘されていた。ウォールストリートジャーナルは同日、この人物がダニエル・フリードバーグ氏であると報じていた。フリードバーグ氏はまた検察の捜査で情報を提供した人物としても過去に名前が報じられている。
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