香港の仮想通貨・Web３積極策　中国本土での「大きな動き」の兆候だ＝アニモカ共同創設者

　　香港における仮想通貨とWeb3の急速な普及は、中国本土で「大きな動き」が起こっている兆候だ。こう語るのは、ブロックチェーンゲームを手掛けるアニモカ・ブランズの共同創設者ヤット・シウ氏だ。

　　アニモカ共同創設者であるシウ氏によれば、香港での仮想通貨トレンドは香港だけにとどまらず、仮想通貨を禁止しているはずの中国本土にまで及ぶものだという。

　　7月19日のイーサリアムコミュニティカンファレンス（EthCC）で、シウ氏は中国が5月にWeb3白書を公表したことに触れ、これは中国政府が「Web3がインターネットの未来であることを基本的に示した」事象だと指摘した。香港が個人投資家の仮想通貨投資を許可する計画を正式に発表したわずか数日後にこのニュースが出たことは、過小評価すべきではないとシウ氏は強調した。

　　中国のWeb3白書は仮想通貨には触れていなかったが、中国本土がWeb3の進展に向けて予算を出していることは重要だとシウ氏は語った。香港の仮想通貨政策に関するニュースは中国全土でも見られ、国営テレビ局の中国中央電視台でも報道されていたとシウ氏は付け加えた。

　　「つまり、中国にいる中国人は基本的にこれを見ることができた」とシウ氏は指摘し、「これは興味深い。なぜなら、これは香港で何が起こっているかだけについてのものではない。これは実際には、上から来ているメッセージだ。そして香港は中国の承認なしに何もできないだろう」とシウ氏は語る。

　　シウ氏はまた、Web3が新しい技術パラダイムを推進し、米国の技術覇権から離れる強力なツールにもなると主張した。彼は特に、グーグル、アップル、フェイスブックなどのテクノロジー巨人に依存する国々の潜在的なセキュリティリスクに言及し、「それが実際にはもう1つの大きなアジェンダであり、日本、韓国、中国などがWeb3を強力に推進している本当の理由だ。これらの国々は、基本的に米国が支配するテクノロジーから離れる機会としてそれを見ている」と述べた。

　　シウ氏は、米国の覇権に挑戦することが、脱ドル化を重視している中国のような場所にとって特に重要であると述べ、「これがWeb3がこれらの場所で推進されているもう1つの理由だ。ドルに対する依存性を減らす。もちろんドルは、我々が知っているように、世界のグローバル通貨だ」とシウ氏は語った。

　　中国人民銀行は2021年9月に、ほぼ全ての仮想通貨活動に対する禁止を公式に発表した。しかし、禁止があったにもかかわらず、中国本土は世界最大の仮想通貨マイニングのハブの1つであり続けていたことは注目に値する。

　　香港が積極的に仮想通貨に対する規制を整備しているというニュースを受けて、多くの仮想通貨ウォッチャーは、中国が何年にもわたる仮想通貨禁止を解除する可能性があると期待を寄せている。しかし、業界関係者の中でも意見は分かれており、中国政府の強力な資本規制を考えると、引き続き仮想通貨を禁止を続けるだろうとの見方もある。