ビットコインマイニング　より環境に優しくなっている【オピニオン】

　　Didar Bekbauov

　　2023年07月23日 07:00

　　ビットコインマイニング より環境に優しくなっている【オピニオン】

　　ビットコイン（BTC）のマイニングの環境への影響は、常に論争を招くテーマだ。批判派たちはビットコインネットワークのセキュリティを確保するためには、中小国の年間電力消費量を上回る電力が必要だと強調する。一方で、仮想通貨コミュニティの多くは、ビットコインのブロックチェーンが14年以上の歴史を通じてほぼ99.99％の稼働時間で外部攻撃に対して非常に強固であることを可能にするため、必要不可欠な活動だと主張する。

　　しかし、市場での最近の動向は、参加者にビットコインマイニングをついに持続可能なものにする機会を提供している。

　　BTCマイニングだけが「悪者」になるべきではない

　　まず最初に、ビットコインマイニングについての事実を正確に理解することが重要だ。世界各国のエネルギー消費量との比較や、1つのBTCトランザクションが約82万回のVisaトランザクションに匹敵する二酸化炭素排出量を持つといった推定がよく引き合いに出されるが、マイニング活動自体が二酸化炭素を排出するわけではない。

　　ビットコインのエネルギー消費の実際は、マイニングリグに電力を供給する発電所によるものだ。家庭や他のビジネス活動と同様に、マイナーは任意の場所に存在する電気インフラを使用するだけだ。

　　テスラが2021年5月に環境への懸念を理由にビットコイン支払を停止して以来、多くの人々がブロックチェーンネットワークのエネルギー消費を批判する流れに乗った。しかし、ビットコインマイニングの高い電力使用量について対処することは重要である一方、それだけが電力を大量に消費する業界ではないということを忘れてはならない。

　　ビットコインマイニング協議会によれば、BTCマイニングは、建設（3.77％）、金融および保険（4.45％）、海運（5.41％）、航空（5.43％）などの産業に供給されるエネルギーの一部分しか消費していない。ビットコインネットワークを保護するためには、金を採掘するのに必要な電力の約2.6倍が必要だ。これには、電子機器の廃棄や、環境負荷が最も大きな産業の1つである農業・畜産業について議論もしていない。

　　以上を考慮すると、他の業界が毎日どれだけの電力を消費しているかを言及せずに、ビットコインマイニングの高い電力使用量を指摘するのは不公平だと言える。

　　マイニングはますます持続可能な業界に

　　このテーマを巡る論争にもかかわらず、ビットコインネットワークを保護し維持するためには大量の電力が必要であるという事実は変わらない。問題は、ビットコインをより持続可能にする方法だ。

　　解決策の1つは、ビットコインマイニングを他のビジネス活動と有益な方法で組み合わせることだ。例えば、水冷マイニングファームは、温室や魚の養殖場、建物、さらにはコミュニティ全体に熱を供給することができる。1万平方フィートの温室を暖めるためにはわずか8台のWhatsMinersで十分であり、マイニングリグで水温を10度上げると、魚の養殖場でのサーモンの成長期間を最大3倍短縮することができる。他の可能な使用例としては、小型水力発電所を開発し、地域社会と共に電力を消費することが挙げられる。

　　関連石油ガス（APG）をビットコインマイニングリグの電源として使用することも、この分野での重要なポイントだ。APGは、石油掘削の副産物だ。生産者にとってそれを使用することが常に価値があるわけではないため、彼らはそれを現場で定期的に燃やしている。後者のプロセスはガスフレアリングと呼ばれ、これにより2021年には27億トンのCO2相当の排出物が発生した（これには、ベンチングとメタン漏れによるガスの無駄が含まれる）。

　　このリソースを無駄にする代わりに、ビットコインマイナーはAPGをエネルギーに変換し、自身のリグを動かすことができる。フレアリングを防ぐことで、この活動は環境に好ましい影響を与えるだろう。事実、ビットコインマイニングが各石油生産者によるフレアガスの割合を80％減少させることができるという報告も出ている。

　　同時に、研究者たちは、これが排出量を減らすための最もコスト効率の良い方法であることを発見した。これは、風力や太陽光の値を何倍も上回る。これが、アメリカの小規模な石油・ガス会社がフレアガスでBTCをマイニングしている理由かもしれない。

　　よりグリーンなビットコインへの道

　　ビットコインマイナーが再生可能エネルギーの形で安価なエネルギーへのアクセスがある国に移住してきたことで、業界の持続可能性を高める機会にもなっている。

　　長期的な目標は、ガスフレアリングを防ぎ、他のビジネス活動との組み合わせなどの取り組みを通じて、ビットコインマイニングを環境に優しいものにすることだ。理想的には、すべての業界が可能な限り持続可能になり、環境への悪影響を最小限に抑えるべきだ。これを可能にするための努力をすることが、責任ある市場参加者であるということだ。

　　ビットコインマイニングは、マイナーが電力消費に非常に柔軟であるため、エネルギーセクターを変革するためにすでに多くを成し遂げている。そして、この業界の持続可能性が今後数年で改善するにつれて、環境に優しいビジネスに投資することに興味がある大規模投資家を多く引き付けるだろう。

　　ディダール・ベクバウ氏（Didar Bekbauov）は、2019年に共同設立したビットコインマイニング会社XiveのCEOである。彼は以前、Hive Miningのマネージングパートナーを務めていた。彼はカザフ・ブリティッシュ・テクニカル大学から学士号を、ロバート・ゴードン大学から金融管理の修士号を取得している。