犯罪者は資金洗浄にビットコインは使わなくなっている　エリプティック元幹部が指摘

　　Gareth Jenkinson

　　2023年07月23日 01:00

　　犯罪者は資金洗浄にビットコインは使わなくなっている エリプティック元幹部が指摘

　　エリプティックの元仮想通貨アドバイザリーヘッドであるタラ・アニソン氏によると、Web3における犯罪はビットコイン（BTC）からステーブルコインへと移行しており、ポンジスキームは依然として蔓延している。

　　アニソン氏はパリのEthCC最終日のプレゼンテーションで、デジタル資産が犯罪を容易にしたり、資金洗浄に利用されている様々な方法について最新の洞察を共有した。アニソン氏によると、ビットコインはもはや不正行為を行ったり、資金を洗浄するための選択肢とはなっていない。仮想通貨業界が成熟するにつれて、分散型金融（DeFi）プロトコル、ミキシングサービス、ステーブルコインが、犯罪者が選択する新たな手段となっている。

　　犯罪者はドル建て資産、特にUSDコイン（USDC）の使用に移行している。これはその容易なアクセシビリティと、分散型取引所（DEXs）を通じた資金洗浄能力が理由だ。「犯罪者はそこをターゲットポイントとして使用する。また、DEXsを通じて資金洗浄するのは非常に容易だ。流動性が高く、取引量も非常に多いので、かなり懸念される」とアニソン氏は語る。

　　一方で、法執行の観点から見れば、犯罪者がDEXsや中央集権型の取引所を通じて資産を法定通貨に交換する前に、サークルのような中央集権型の発行者が特定のUSDCトークンを凍結するといったことも可能であるとアニソン氏は指摘する。「現在私たちが目にしているのは、ブラックリストに登録されたUSDCとUSDTのアカウント数が増えており、犯罪者が凍結された資金にもはやアクセスできない状況だ」と彼女は語る。

　　ポンジスキームとピラミッドスキーム（ねずみ講）は依然としてこの業界の特徴であり、これらの詐欺の被害者から78億ドルが盗まれたとアニソン氏は指摘している。

　　犯罪者は資金を洗浄するためのより洗練された方法を見つけている。アニソン氏は、犯罪者が不正行為を隠そうとするチェーンスワッピングやアセットスワッピングが盛んであると語った。「私たちはこれが約41億ドルにのぼると確認している。彼らはDEXを使って飛び越えようとする。コインスワップサービスを使ったり、ミキサーを使ったり、ブリッジを使ったりする。すべて基本的には、ブロックチェーン分析会社の追跡をかわすためだ」と彼女は語る。

　　DEXから盗まれた12億ドルが最終的に中央集権型の取引所に行き着くとアニソン氏は語った。前年と比較して、仮想通貨業界の詐欺は46％減少している。アニソン氏によると、その理由は現在進行中の弱気相場で、これが必然的に仮想通貨業界をサイバー犯罪者にとって魅力的でなくしている。「彼らはそれほど興奮しておらず、価格も低いので、犯罪者にとっては利益が出にくい」と彼女は語った。

　　アニソン氏はまた、仮想通貨による制裁回避やテロ活動資金調達が増えていることにも触れ、TRONとUSDTが不正使用のための人気資産となっていると強調した。

　　メタバース体験の出現に伴い、この空間は悪意ある行為者を引き付けるようになった。フィッシング攻撃、NFT盗難、拡張現実ハックなど、仮想世界でも様々な犯罪が増えている。アニソン氏のプレゼンテーションでは、このセクターでの犯罪活動の現実を浮き彫りにし、ユーザーを保護し、不正行為を防ぐためのより厳格な警戒とセキュリティ対策が求められることを強調した。