飲食業界で進むNFT採用　2032年には市場規模20億ドルとの予測も

　　Amaka Nwaokocha

　　2023年07月30日 06:00

　　飲食業界で進むNFT採用 2032年には市場規模20億ドルとの予測も

　　非代替性トークン（NFT）の採用が飲食業界で急速に進んでおり、多くのファストフードチェーンがこの資産クラスに興味を示している。

　　Research and Marketsのレポートによれば、飲食業界のNFT市場規模は2032年までに20億ドルを超えると予測されている。この統計は、ピザハットやパパジョンズなどの世界的なファストフードブランドが最近、マーケティング戦略にNFTを組み込む新たな方法を見つけていることからも明らかだ。

　　レポートによれば、市場を支える主な要因はブロックチェーン技術の採用と、飲食業界での透明性と追跡可能性を求めるNFTの需要だ。NFTを使った独自の所有権の機会、仮想現実やビデオゲームでのNFTの使用、飲食会社やレストランからのプロモーションや広告などが、予測期間中の市場を牽引する要因と見られている。

　　NFTは、取引を透明かつ安全に記録する分散型のデジタル台帳であるブロックチェーン技術を使って検証されたユニークなデジタル資産だ。NFTの価値は、それが表すアイテムの希少性や人気度に大きく依存し、一部のNFTは数百万ドルで取引されている。

　　飲食業界では、透明性と追跡可能性を求める需要により、NFT市場が脚光を浴びている。食品の原産地、品質、安全性の追跡と確認は、消費者、小売業者、規制当局にとって極めて重要だ。

　　2021年3月、ピザハット・カナダは「1バイトフェイバリッツ」というデジタルピザコレクションでNFTのトレンドに参入した。これらのNFTは、ハワイアン、ペパロニ、カナディアン、マルゲリータなどの人気レシピを特集したRarible上のピザスライスを表していた。NFTは人気を博し、パンピザの宣伝と顧客とのエンゲージメントを目的としたマーケティングキャンペーンとして使用された。

　　ピザのテイクアウトチェーンのパパジョンズは、「ホットバッグ」コレクションでNFT市場に参入した。これらのNFTは、新しいビジネスラインであるパパジョンズXチェダーの宣伝を目的としたハンドバッグのデザインを紹介していた。このNFTはテゾスのブロックチェーン上にミントされ、その数字は同社の設立年（1984年）を象徴していた。

　　しかし、レポートでは、飲食業界におけるNFTの採用は、特に小規模生産者にとっては技術的な複雑さにより妨げられていると指摘している。消費者や業界関係者の間でNFTの利点についての認識が限定的であることも課題となっている。