エルサルバドルがビットコイン記念日を迎える｜浮き沈みの激しい1年

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　　エルサルバドルがビットコイン法を施行し、世界で初めてビットコイン（BTC）を法定通貨として採用してから2022年9月7日でちょうど1年が経過した。

　　エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は昨年、ビットコインの法定通貨化を提唱し、ビットコインの採用が2021年時点で銀行サービスへのアクセスがない国内人口の70％に恩恵をもたらすと約束した。

　　また、エルサルバドル政府は、ビットコインを外国投資の誘致、新規雇用の創出、同国経済における米ドルへの依存度低減のためのツールとして宣伝した。しかし仮想通貨を法定通貨として採用して以来、ビットコインの価値が約60％下落したため、ビットコインを採用したことによる現在の実益を疑問視する声もあるようだ。

　　コインゲッコーのデータによると、1年前のちょうどこの日、BTCは約46,000ドルで取引されていた。2021年9月6日、エルサルバドル政府は初めてビットコインを購入し、1036万ドルで200BTC、つまり平均価格51,800ドルで購入した。これは、6日にビットコインが19,000ドルを割り込んだように、現在のBTC価格と大きなコントラストをなしている。本稿執筆時点では、ビットコインは18,806ドルで取引されており、過去1年間で64％以上下落している。

　　Bitcoin one-year price chart. Source: CoinGecko

　　ナジブ・ブケレ大統領のポートフォリオトラッカーのデータによると、エルサルバドルはBTCを法定通貨として採用して以来、政府が行った10回のビットコイン購入価格を全て下回っている。エルサルバドル政府はこれまでに合計2,381BTCを購入しており、現在の価格では、エルサルバドルが保有するBTCに支払った価格よりも6200万ドルも低い価値となっている。

　　エルサルバドルのアレハンドロ・ゼラヤ財務大臣は以前、価格の下落にもかかわらず、コインを売却していないため、BTC購入による損失は発生していないと強調した。また、政府は、不利な市場環境と地政学的問題を理由に、ビットコイン債券プロジェクトを繰り返し延期してきた。

　　仮想通貨価格の急落と弱気市場の進行の中で、一部の業界オブザーバーは、エルサルバドルのビットコイン採用を 「失敗したビットコイン実験」と呼び始めた。また、取引コストを含め、エルサルバドルの経済や金融市場に何らかのポジティブな影響を与えたとされているため、ネガティブな主張に反対する人もいる。

　　ビットトレントの生みの親でChia Networkの創設者であるブラム・コーヘン氏は6日、Twitterで、利益の額はしばしば「あまり相関しない」と指摘した。彼は、エルサルバドルで安価なビットコイン取引が出現したため、一部の銀行が金利を引き下げざるを得なかったことを示唆した。

　　The same thing may be going on in El Salvador. Now that there's a cheap-but-anoying method of doing remittances using crypto, the banks have had to cut rates to the point where their slightly better user experience is worth the price

　　— Bram Cohen (@bramcohen) September 6, 2022

　　エルサルバドル中央準備銀行によると、海外に住むエルサルバドル人は2022年1月から5月にかけて5000万ドル以上の送金を行ったという。また、ビットコインとエルサルバドル政府が支援するChivoウォレットの採用により、2022年のライトニングネットワークのトランザクションは400％増加した。

　　「エルサルバドルはビットコイン内の非常に多くのイノベーションのための実験場になるだろう」とIbex Mercado CEOのジョセ・レムス氏は語った。彼は、「規制の枠組み、政治的意思、ツールの採用と範囲、そして最も重要なのはビットコインの必要性」を兼ね備えた司法権は他にないためだと指摘した。

　　“これにより、エルサルバドルは、新しいライトニングアプリケーションを安全に実験し、信頼され、実証され、相互接続されたサービスの活発なエコシステムを構築するための完璧な場所となる。”