ミャンマーで仮想通貨ベースの銀行が誕生　民主派の亡命政府が支援【インタビュー】

　　Tom Mitchelhill

　　2023年07月20日 17:15

　　ミャンマーで仮想通貨ベースの銀行が誕生 民主派の亡命政府が支援【インタビュー】

　　ミャンマー初の完全仮想通貨ベースの金融機関であるスプリング・デベロップメント・バンクが7月22日にソフトローンチを予定している。これにより、ミャンマーの民主派政府側がより多くの金融サービスと資金へのアクセスを得る可能性が高まる。

　　スプリング・デベロップメント・バンクは、2021年2月にミャンマーを掌握した軍事政権である国家行政評議会(SAC)に対抗する亡命国民統一政府(NUG)による運動「スプリング・レボリューション」にちなんで命名された。

　　この銀行のターゲット層は、ミャンマーに住む5500万人のビルマ人だけでなく、ミャンマー国外で生活し、頻繁にミャンマーに送金する200万人の「ビルマ人ディアスポラ」も含まれる。同行はポリゴン上に構築され、国内外の支払いをより迅速かつ効率的にし、幅広い金融商品への国際的なアクセスを提供することを主な目標としている。

　　安全上の理由から匿名を求めたスプリング・デベロップメント・バンクの関係者は、仮想通貨がビルマ市民と亡命政府への金融支援を提供する明白なソリューションだとコインテレグラフに語った。「スプリング・デベロップメント・バンクとそのブロックチェーン技術は、NUGの資金調達戦略における自然な進展だ」とこの関係者は語った。

　　新たな仮想通貨銀行は直接NUGによって設立されたわけではないが、関係者によれば、全面的なサポートを得て設立された。また、同行はNUGが管理するミャンマーの暫定中央銀行によってライセンスを取得し、規制されている。同行のCEOであるカルビン・T氏は、新たな機関の設立はミャンマーの経済的自由を取り戻す第一歩を示すものだとコインテレグラフに語った。

　　ミャンマーの暫定中央銀行の総裁であり、財務産業大臣代理のティン・トゥン・ナイン氏は、同行を基本的に「革命的」な機関だと述べた。「私たちは軍によって支配された銀行システムに資金を移すことはできず、政府によって保証され、信頼に基づく代替金融システムを提供する必要がある」とナイン氏は語った。

　　ナイン氏によれば、軍が支配する金融システムは「崩壊しつつあり」、スプリング・デベロップメント・バンクは市民の金融資産を確保するのに役立つだろう。伝統的な手段で国内に送金する際の手数料は、最大で30％に達するという報告もある。

　　「すべてはポリゴン上に構築されており、コスト面だけでなく、長期的にポリゴンのエコシステムが存続する可能性が高いと考えたためだ」と関係者は説明した。

　　同行は、ミャンマーのチャット、タイのバーツ、シンガポール・ドル、米ドルを含む、新たな法定通貨ペッグのステーブルコインを発行する予定だ。ユーザーはこれらの資産を同行の「通貨スワップ」機能に接続でき、ステーブルコインの交換が可能となる。

　　ミャンマーでは、NUGを支持する市民（スマートフォンに特定のアプリがインストールされているだけでも該当する）が、暴力や投獄を通じて頻繁に「見せしめ」にされていると銀行関係者は語る。そのため、同行のユーザーインターフェースは「ウェブ専用」のプラットフォームとして設計されている。「同行のインターフェースはアプリケーションのように見えるが、ブラウザの履歴を保存しないように、すべての人々にはプライベートウィンドウを使ってアクセスすることを推奨する」と関係者は語った。

　　2021年12月31日、NUGは国際貿易を加速するため、米ドルペッグのステーブルコインであるテザー(USDT)を法定通貨として認めた。NUGは2021年10月に欧州議会によってミャンマーの正式な政府として認められた。ただし、米国はまだ亡命政府を公式に認めていない。