WikiBit 2026-07-09 12:34デューンのデータによれば、テザーのUSDTは暗号資産市場における決済用ステーブルコインとして支配的な地位を固める一方、サークルのUSDCはDeFiを支える存在となっている。どのブロックチェーンを選ぶかが、ステーブルコインの使われ方を大きく左右している実態が浮き彫りになった。
世界最大級のステーブルコインは、もはや真正面から覇権を争う存在ではなくなりつつある。テザーのUSDt(USDT)と、サークルのUSDC(USDC)は、暗号資産エコシステムの中で、それぞれ異なる役割を担う「チェーン特化型」の金融商品へと変貌している。
デューンの「デジタル・アセット・ブリーフ」によれば、オンチェーン決済の世界で圧倒的な存在感を見せているのはUSDTだ。2026年上半期、最大のステーブルコインであるUSDTは、特定可能な商取引決済で約950億ドル、円換算で約15兆4300億円を処理した。これに対し、2位のUSDCは約140億ドル、約2兆2700億円にとどまった。
さらにUSDTは、企業間決済、いわゆるB2B決済でも強さを見せる。総額480億ドル、約7兆7900億円にのぼるB2B決済額のうち、実に約92%をUSDTが占めたという。
とりわけ象徴的なのがトロン上でのUSDTの使われ方だ。USDTにとって最大のネットワークであるトロンでは、同トークン供給量の約93%が取引所ではなく、一般ウォレットに保有されている。これはUSDTが単なる投機の道具ではなく、決済や送金のための実用品として使われていることを物語っている。
一方のUSDCは、分散型金融、すなわちDeFiの領域で主役の座を固めている。
6月には、ベース上のUSDCが約2兆6000億ドル、円換算で約422兆1900億円という送金量を処理した。これは、あらゆるトークンとチェーンの組み合わせの中で最大だった。さらにイーサリアム上でも、USDCは約1兆6000億ドル、約259兆8100億円を処理している。
デューンによれば、6月のベース上のUSDCは、1日あたりの流通速度が流通供給量の約20倍に達した。これは、同トークンが取引やDeFiでいかに広範に使われているかを示す数字だ。
こうした分析結果は、これまで語られてきた「USDT対USDC」という単純な構図が、もはや現実を映しきれていないことを示している。いま起きているのは、勝者総取りの争いではない。USDTは決済を制し、USDCは暗号資産取引とDeFiを支える基盤として存在感を高めている。両者はそれぞれの縄張りを築きつつあるのだ。
USDC on Base recorded daily velocity of about 20 times its circulating supply in June, reflecting its extensive use in trading and DeFi. Source: Dune
供給面を見ても、その違いは鮮明だ。USDTの供給量はトロンとイーサリアムにほぼ二分されている。一方、USDCは新興ブロックチェーンへの展開を進めながらも、依然としてイーサリアムに大きく集中している。
USDTs supply is split almost evenly between Tron and Ethereum, while USDC remains heavily concentrated on Ethereum despite expanding to newer blockchains. Source: Dune
この分析は、2つのデジタル資産がなおステーブルコイン市場を支配している現実も浮き彫りにしている。デューンは複数のブロックチェーン上に存在する200種類超のステーブルコインを追跡しているが、USDTとUSDCを合わせると、ステーブルコイン市場全体の時価総額約3150億ドル、約51兆1500億円のうち、約83%を占めている。
米議会、ステーブルコイン規制を塗り替える
米国では、ジーニアス法の成立を受け、ステーブルコイン分野に追い風が吹いている。2025年に署名され成立したジーニアス法は、決済用ステーブルコインに関する初の連邦規制枠組みを確立した。これにより、銀行やその他企業が米ドル連動型のデジタル資産を発行する道が開かれた。
現在、米議会ではクラリティ法案の審議も進んでいる。同法案は、暗号資産が米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)のどちらの管轄に入るのかを定義し、デジタル資産市場全体のルールを整備することを目的としている。
クラリティ法案はステーブルコインを直接規制するものではない。しかし、ステーブルコイン発行企業、取引所、DeFiプラットフォームが活動する規制環境そのものを形づくる法案であり、その影響は小さくない。
クラリティ法案は5月に上院銀行委員会を通過しており、8月の休会前に上院本会議で採決される可能性がある。ただし、ギャラクシーは最近、議員らに残された時間が少なくなっているとして、休会前に同法案が成立する確率を50%に引き下げた。
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