WikiBit 2026-07-14 20:19韓国政府は2027年、トークン化した国債と中央銀行デジタル通貨(CBDC)基盤を接続する実証実験に乗り出す。これまで構想段階にとどまっていた「国家の借金のデジタル化」が、ついに政府の公式日程に組み込まれた。
韓国が、国家の借金である「国債」までブロックチェーン上に載せようとしている。
韓国政府は2027年、トークン化した国債と、金融機関向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)基盤を接続する実証実験を行う計画だ。
これまでアイデアの域を出なかった国債のトークン化が、ついに政府の公式スケジュールへと格上げされた格好である。(TradingView)
韓国政府は14日、2026年下半期の経済政策を盛り込んだ「2026年下半期経済成長戦略」を発表。その中に、今回の実証実験が盛り込まれた。
政府は実施時期を2027年と明記しただけではない。韓国銀行(BOK)が整備するCBDC基盤を、ほかのブロックチェーンと相互接続する方法についても検討するという。
つまり、外部の分散型台帳と、韓国銀行が管理する許可制システムをつなぐ構想だ。
今回使用されるのは、一般消費者が買い物に使うようなCBDCではない。金融機関同士の取引を目的とした「ホールセール型CBDC」である。
実証実験では、このホールセール型CBDCが単なるデジタル決済手段にとどまらず、国債の発行や売買、決済といった資本市場の基盤として機能できるのかを検証する。
ただし、現時点では肝心な部分がほとんど明らかにされていない。
対象となる国債の種類、実験の規模、参加する金融機関、採用するブロックチェーン技術について、政府文書は具体的に説明していない。
国債を最初に発行する「プライマリー市場」まで対象にするのか、発行済み国債を売買する「セカンダリー市場」も含むのか、あるいは取引成立後の決済処理だけをブロックチェーン化するのかも不明だ。
韓国が狙う「ブロックチェーン経済」
国債トークン化の構想が公の場で初めて示されたのは、7月1日のことだった。
韓国銀行のシン・ヒョンソン総裁は、欧州中央銀行(ECB)が主催した中央銀行フォーラムのパネル討論で、国債をトークン化の「最大の獲物」と表現した。
シン総裁が描くのは、トークン化した国債、ホールセール型の中央銀行マネー、そしてトークン化した商業銀行預金を、ひとつの共通台帳に載せる構想だ。
韓国銀行が主導するCBDC実証事業「プロジェクト・ハンガン」を、国債市場にまで拡張しようというのである。(Crypto Briefing)
韓国政府は今回の国債実証実験を、より大規模な「ブロックチェーン経済」推進策の一部に位置づけている。
2026年下半期には、デジタル資産やブロックチェーン分野における大規模な実証実験、技術開発を支援する施策も導入する方針だ。
要するに韓国は、暗号資産取引だけを育てようとしているのではない。国債、銀行預金、証券決済という金融システムの中枢そのものを、ブロックチェーン上で再構築しようとしている。
「速すぎる決済」が危機を拡大する恐れも
もちろん、決済を高速化すれば、すべてが解決するわけではない。
韓国銀行はECBフォーラムで示した論文の中で、決済が高速化し、24時間連続で行われるようになれば、市場の混乱や金融不安が従来より速く広がる恐れがあると警告した。
さらに、スマートコントラクトの不具合、流動性不足、外部データをブロックチェーンに取り込む「オラクル」の障害といった新たなリスクも発生する。
現在のプロジェクト・ハンガンのデジタル台帳と、韓国銀行が既に運用している決済システムは、まだリアルタイムでは連携していない。
国債のトークン化を本格的に進めるには、この“つながっていない状態”を解消する必要がある。
株も債券も投資信託もトークン化へ
韓国政府の計画は、国債の実証実験だけでは終わらない。
今回の経済戦略では、ブロックチェーンおよびデジタル資産産業を支援するため、関連事業者やステーブルコインを対象とする法整備を進める方針も示された。
さらに国債の実証実験は、韓国で規制下の「トークン証券市場」が始動する時期と重なる見通しだ。
分散型台帳を正式な証券登録簿として認める法改正は、2027年2月に施行される予定となっている。
これにより、株式、債券、短期金融商品などをトークン化し、規制された市場で発行・流通させることが可能になる。
韓国が目指しているのは、単に「国債をデジタル化しました」という小さな実験ではない。
中央銀行のお金、民間銀行の預金、国債、株式、債券を、ひとつのデジタル金融圏にまとめる——。
成功すれば金融取引は劇的に速くなる。一方、システム障害や金融危機まで一瞬で伝播する危険性もある。
便利さと危うさを併せ持つ「国家規模の金融ブロックチェーン」が、2027年の韓国でいよいよ動き始める。
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